ボクシングの練習は強度が高く、連日続きます。だからこそ「うまく疲れを抜く仕組み」が必要です。ここでは専門用語を使わず、今日から実行できる形にまとめました。先に結論です。
- まずは睡眠と炭水化物(糖質)と水分+塩。ここが崩れると他の工夫は効きにくい。
- **冷たい風呂(アイスバス)**は「明日の質を取り戻す道具」。筋力アップを狙う日は基本やらない。
- マッサージ・フォームローラー・着圧は“やって損なし”の軽いブースター。
- 減量期は「削る」のではなく、タイミングを工夫して回復を落とさない。
- オフ期は体を強くするチャンス。回復は“次の伸び”のために使う。
以下、具体的にまとめます
1. まずは“土台”の回復(減量期・オフ期 共通)
1-1. 睡眠:回復のいちばん強い味方
- 目安は合計7.5〜9時間。足りない日は昼に20〜30分の仮眠を足す。
- 就寝前はスマホの光を弱め、カフェインは練習用の摂取に絞り、なるべく寝る6時間前以降は控える。
- ベッドに入る前の「同じ行動」(軽いストレッチ、白湯を一口、歯磨き後は画面を見ない)を毎日そろえると寝つきが安定します。
1-2. 練習後の食事:まず糖質、次にタンパク質
- 練習直後〜2時間は「糖質が主役」。体重1kgあたり1.0〜1.2g/時間を2〜4時間ほど続けると、次の日の練習が楽になります。
- タンパク質は体重1kgあたり0.3〜0.5gを1日3〜4回。例:体重60kgなら1回18〜30g。
- 迷ったら、直後は糖質を優先、その中にタンパク質を添えるイメージでOK。
1-3. 水分と塩:体重の増減で必要量を決める
- 練習前後で体重を量り、減った分を1kgあたり1.25〜1.5Lで戻す。
- ただの水だけでなく、塩(ナトリウム)を一緒に。スポドリを使うなら薄め過ぎない。
- 口が乾く前に少しずつ。色の濃い尿や立ちくらみは、足りていないサイン。
1-4. マッサージ/フォームローリング/着圧
- マッサージ:15〜30分でOK。筋肉痛やだるさが軽くなりやすい。
- フォームローリング:5〜10分で可動域が上がり、翌日の重だるさを下げやすい。やり過ぎないのがコツ。
- 着圧ソックス・スリーブ:長距離移動や連日のスパーに。むくみが出やすい人は試す価値あり。
1-5. 冷たい風呂(アイスバス)の使い方
- 明日の練習の質を守りたいときに使う。連戦の週、合宿、スパー多めの週など。
- ただし筋力やパンチ力を伸ばしたい日の直後は避ける。体の“伸び”が鈍くなる可能性があるため。
- 目安:10〜15分。冷たすぎると眠りが浅くなる人もいるので、就寝直前は避ける。
1-6. サプリは“土台の後”
- クレアチン:反復の強度を落としにくくする助け。計量前は体内の水分が増えて体重が少し重くなりやすい点にだけ注意。
- タルトチェリー:筋肉痛や睡眠の質が楽にする。試して体感ある場合は継続。
- オメガ3:関節疲労軽減、体のこわばりが軽くなるケースあり。数週間〜1か月は続けて様子を見る。
- どれも睡眠・食事・水分が整ってから。第三者認証のある製品を選ぶ。
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1-7. 毎朝のチェック
- 主観の4点(睡眠の質・疲労感・筋肉痛・ストレス)を10点満点でメモ。
- 可能なら**心拍変動(HRV)**のアプリや時計で補助。
- 点が低い日は、量より質にメニューを組み替える判断材料に。
2. 減量期:削りながらも“回復を落とさない”
2-1. 糖質のタイミングが命
- カロリーを落としていても、練習直後の糖質はケチらない。翌日の動きが変わります。
- 一日の中で、強い練習の前後に糖質を寄せる。軽い日は控えめに。
2-2. 脱水は2%以内
- スパーや強いミットの日に大きく脱水すると、判断が鈍りやすい。体重を測って戻す量を決める。
- 失った体重1kgにつき1.25〜1.5L+塩を目安に、数時間かけて戻す。
- 必ず抜けた水分は摂取する
2-3. 冷たい風呂は連戦のつなぎに限定
- ウェイトで出力を伸ばす日は避ける。使うならスパー連日や本数が多い夜だけなど、場面を絞る。
3. オフ期:体を“強くする”ための回復
3-1. 伸ばす日に冷たい風呂は使わない
- ウェイトや出力トレの直後は避け、暑さ対策や炎症が強い週に使う程度に。
3-2. 睡眠の“時間を買う”
- 合宿・ボリューム期は夜を20〜60分だけ延ばす、昼寝を20〜30分入れる。単純だが効果あり。
3-3. 食事は“重い日ほど多く”
- 練習の重い日に糖質を多め、軽い日に抑える。
- タンパク質は0.3〜0.5g/kg×1日3〜4回を固定しておくと迷わない。
4. そのまま使える「1日の回復ルーティン」
練習直後(0〜30分)
- 体重差を見て、水分と塩を戻し始める。
- 糖質スタート(体重1kgあたり1.0〜1.2g)。固形でもドリンクでもOK。
0〜2時間
- 糖質を継続しつつ、タンパク質0.3〜0.5g/kg。
- フォームローリング5〜10分、ストレッチは“痛くない範囲”。
夜
- マッサージ15〜20分(セルフでも可)。
- 連戦週で明日の質を守りたいなら冷たい風呂10〜15分(※筋力アップ日は除く)。
- 就寝前は光を落として、同じ手順でベッドへ。
睡眠
- 7.5〜9時間。足りない日は昼寝20〜30分で補う。
翌朝
- 主観スコアをつける。悪い日はテクニック中心に切り替え、量は控えめ。
5. よくあるつまずきと回避策
- 「直後に食べられない」
→ ドリンクで糖質を入れておく。ゼリーやおにぎり半分でも良い。 - 「水だけ大量に飲む」
→ 体が薄まり、だるくなる。塩を一緒に。 - 「ローラーのやり過ぎ」
→ 痛いほど長くやると逆に重くなる。5〜10分で十分。 - 「寝る前のスマホ」
→ 脳が覚醒する。輝度を最低+目に近づけない。 - 「毎日アイスバス」
→ 明日の質は上がっても、体の“伸び”が鈍ることがある。使い所を選ぶ。
6. 減量期とオフ期のチェックリスト
減量期
- 強い練習の直後は糖質最優先
- 脱水は2%以内、体重差×1.25〜1.5L+塩で戻す
- アイスバスは連戦の夜だけなど用途限定
- 主観スコアが悪い日は量より質に変更
オフ期
- ウェイト直後のアイスバスは基本しない
- **睡眠時間の“上乗せ”**でボリューム耐性アップ
- 糖質は重い日ほど多く、軽い日は控えめ
- 週2〜4回の軽いマッサージ/ローリングを継続
7. 具体例:60kg級選手の「高強度日」の食事イメージ
- 練習直後:グルタミン+プロテイン
- 1時間後:おにぎり+タンパク質20〜30g
- 2〜3時間後:果物+ヨーグルト/サンドイッチ
- 夜:主食しっかり+肉や魚でタンパク質20〜30g
- 就寝前:どうしても空腹なら、温かい飲み物や少量の乳製品で落ち着かせる
8. まとめ:回復は“足し算”ではなく“順番”
- 睡眠(時間と質)
- 糖質→タンパク質(直後〜数時間のタイミング)
- 水分+塩(体重差に応じて)
- 軽いブースター(マッサージ/ローリング/着圧)
- 場面を選ぶアイスバス(明日の質を守るときだけ)
この順番を守れば、特別な道具がなくても翌日の動きが変わります。
練習でハードに追い込むことだけがトレーニングではありません
傷ついた体を休めることも立派なトレーニングであることを忘れないようにしましょう
ではまた:-)

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