プロボクサーの減量は、検討されたカロリー計算と計画が必要になります
2ヶ月間で体重を10kg減らすのも珍しくはなく、曖昧な知識で手探りでやってしまうと取り返しのつかないことなりかねません
今回は、カロリー設定について簡単に説明していきます
自分の感覚でやっている様な選手は是非読んでいってください
減量の目標と期間の設定
例えば、65kgから55kgへの10kgの減量の場合は以下のステップが必要です
1. 適切な減量ペース
- 1週間に0.5%から1%の減量が目安です。
- これは2ヶ月で10kgを減らす場合、週に1.25kgの減量を目標にします。
- 1日あたりに約1,375kcalのエネルギー赤字を生成することになります。
2. カロリー設定の方法
減量プランを作成する際には、以下の手順でカロリー目標を設定します。
1. 基礎代謝量(BMR)の計算
基礎代謝量は、体が安静時に消費するエネルギー量を指します。以下のハリス・ベネディクト方程式を使用します。
ハリス・ベネディクト方程式は、「人が1日じっとしているだけでも必要なエネルギー(カロリー)」 を計算する方法です。このエネルギーは、体温を保ったり、呼吸をしたり、心臓を動かすために使われます。これを 基礎代謝量(BMR) といいます。
この計算では、以下の3つの情報を使います:
- 体重(kg):体が重いほどエネルギーが多く必要になります。
- 身長(cm):背が高い人ほど、体を維持するのにエネルギーが必要です。
- 年齢(歳):年をとると基礎代謝が少しずつ下がるため、年齢も影響します。
具体的な計算方法
男性用の式:BMR=66+(13.7×体重[kg])+(5.0×身長[cm])−(6.8×年齢[歳])BMR=66+(13.7×体重[kg])+(5.0×身長[cm])−(6.8×年齢[歳])
女性用の式:BMR=655+(9.6×体重[kg])+(1.8×身長[cm])−(4.7×年齢[歳])BMR=655+(9.6×体重[kg])+(1.8×身長[cm])−(4.7×年齢[歳])
実際の例
たとえば、65kg、身長170cm、年齢17歳を例に考えてみます。
- 体重を使う:
13.7 × 65 = 891 - 身長を使う:
5.0 × 170 = 850 - 年齢を使う:
6.8 × 17 = 115.6 - すべてを計算する:
66 + 891 + 850 – 115.6 = 1,691.4kcal
この場合、何もしなくても1日に約1,691kcalのエネルギーを使っていることになります。
2. 活動代謝量の計算
活動代謝量は、基礎代謝量(BMR)に「活動レベル」に基づいた係数を掛けることで求めます。
- 活動レベルの係数
- 1.2(低活動): 一日中ほとんど座りっぱなしの生活。
- 1.375(軽度の活動): 週1~3回の軽い運動。
- 1.55(中程度の活動): 週3~5回の運動。
- 1.725(高活動): 週6~7回の激しい運動。
- 1.9(非常に高活動): アスリートや肉体労働者のように、毎日高強度の運動や活動をしている場合。
プロボクサーの活動代謝量を計算する例
65kg、170cm、17歳のプロボクサーの場合、高活動レベル(係数1.9)を仮定して計算します
先ほどの1691×1.9=3212kcal
理論上はこのカロリーを下回れば痩せていきます
プロボクサーが減量を始める前にやるべき3つのこと
減量を成功させるには、準備段階でしっかりと基盤を整えることが重要です。以下に、プロボクサーが減量を開始する前に行うべき3つの具体的なステップを紹介します。
1. 目標体重と減量ペースの設定
まずは現実的かつ達成可能な目標を設定します(65から55kgに減量する場合)
- 目標体重: 現在の体重65kgから55kgまで減量する。
- 期間: 2ヶ月(8週間)での達成を目指す。
- 減量ペース: 週に0.5〜1.0kgを目安に
- 水抜き:3kgは行う計算でいる
2. 体組成と健康状態のチェック
減量開始前に、現在の体の状態を正確に把握することが重要です。
推奨される手順:
- 体組成測定: 筋肉量、体脂肪率、水分量を計測する。
- 健康診断: 医師やスポーツトレーナーによる健康チェックを受ける。
- パフォーマンス評価: 最大酸素摂取量(VO2max)や筋力テストを実施して基礎体力を確認する。
これにより、減量の安全性と適切性を判断できます。また、目標に応じたアプローチを調整するための基礎データが得られます。
3. 減量プランとスケジュールの作成
具体的な減量計画を立てることで、計画性とモチベーションを維持します。
スケジュール例:
- 食事プラン:
- タンパク質を体重1kgあたり1.6–2.2g摂取。
- 炭水化物をトレーニング日に多めに摂取(減らしすぎない)
- 脂質を全体のカロリーの20–30%に設定(減らしすぎない)
- トレーニングプラン:
- 有酸素運動と無酸素運動を組み合わせる。
- 週5–6回のトレーニングで消費カロリーを増加。
- ウェイトトレーニングで筋肉量を維持。
注意点:
- 過度なカロリー制限は避ける。
- 定期的に体重と体組成を測定し、進捗を確認する。
- 水分補給を忘れずに行う(水分摂取についてはこちら→https://note.com/kaito_gin/n/n4ef6db0af3db)
- 設定した消費カロリーと摂取カロリーに乖離がないか日々の体重経過を見ながら微調整していく()詳しくはこちら→https://note.com/kaito_gin/n/nf9e38325452c)
まとめ
プロボクサーは2ヶ月、場合によっては1ヶ月で試合の準備をすることも珍しくないです
目標体重と減量ペースを設定し、体組成や健康状態をチェックした上で、具体的な減量プランを作成することは成功させる上でも欠かせません
それでも、いまだに知識なく自分のなんとなくの感覚でやっている選手も少なくないです
少しでも早く知識を身につけることは自分の勝率を上げるだけでなく、減量をストレスフリーにやり抜くコツでもあります
簡単な減量相談ならDMで受け付けているので気になる人は連絡してください
ではまた:-)
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