こんにちは、かいとうです
ボクシングの強さは「スピード」「パワー」「スタミナ」「テクニック」など、さまざまな要素で決まります。
しかし意外なほど軽視されやすいのが “柔軟性(可動域)” です。
柔軟性は「身体が柔らかい/硬い」という単純な話ではありません。
- パンチの伸び・キレ
- ガードの戻り
- ディフェンスの俊敏性
- 脱力
- 肩・腰・肘の故障リスク
- スタミナや呼吸の左右
- 緊張や疲労の抜けやすさ
これらにダイレクトに関わっています。
特に現代ボクシングでは「フォームの効率化」「脱力」が重要視されるため、柔軟性はパフォーマンスに直結します。
この記事では、ボクシングにおける柔軟性の重要性から、
“ストレッチルーティン” まで徹底的に解説します。
パンチの可動域が広がり、威力と伸びが変わる
パンチは「肩 → 体幹 → 下半身」ですべて繋がる動作です。
柔軟性が不足していると、いくら筋力があっても“フォームの詰まり”が生じて最大の力が出せません。
特に次の筋肉が硬いと威力が落ちやすくなります。
- 大胸筋(胸)
- 広背筋
- 肩前方
- 上腕二頭筋
- 体幹側部
- 股関節前面(腸腰筋)
例えば、大胸筋が硬い選手は「肩が前に巻く」ため、パンチの押し込みが弱くなり、ジャブもストレートも伸びません。
広背筋が硬ければ、パンチの引き動作が詰まり、リーチを最大限使えなくなります。
ディフェンスの戻りが速くなる
柔軟性が高いと、腕を伸ばした後の“戻し”が速くなります。
- パンチを打った後のガードの復帰
- ボディ打ち後の戻り
- かわした後の体勢の立て直し
こういった動作がスムーズになり、被弾率も下がります。
肩・腰・肘などの故障リスクが下がる
ボクサーの慢性的な悩みといえば…
- 肩の痛み
- 肘の張り
- 腰の違和感
- 背中の張り
これらの多くが「柔軟性不足」によって起きています。
大胸筋や広背筋が硬いほど、パンチ動作の負担が肩関節に集中し、炎症が起きやすくなります。
股関節前面(腸腰筋)が硬いと、腰の反りが強くなり、腰痛や疲労が起こりやすくなります。
スタミナ・脱力に影響する
柔軟性不足の選手は「無駄な力み」が起きやすく、呼吸も浅くなりがちです。
- 筋肉が硬い
- 可動域が狭い
- フォームが無駄に力む
- スタミナ低下
という悪循環に入りやすくなります。
一方で、柔軟性が高い選手は
- 脱力しやすい
- 動きが滑らか
- 効率的なフォーム
- 呼吸が深くなりスタミナUP
など、試合終盤まで動ける身体になります。
ボクシング選手が優先してやるべきストレッチ5選
ここでは、プロの現場で「これだけは絶対やってほしい」と言われる優先順位の高いストレッチを厳選します。
大胸筋ストレッチ(胸)|パンチの伸びと肩の負担軽減に直結
効果:
- パンチの押し込みが改善
- 肩が巻くのを防ぐ
- ガードの引きが速くなる
- 肩の故障予防
広背筋ストレッチ|ジャブの伸び・パンチの引きに直結
広背筋は「パンチの引き手」を作る非常に重要な筋肉。
硬いと
・肩甲骨が動かない → リーチが短くなる
・ジャブが詰まる
・ストレートが伸びない
といった問題が発生します。
肩甲骨周りの動的ストレッチ
肩甲骨の動きはパンチの速度を左右します。
- スナップ
- 肩で押し出す動作
- パンチの戻り
- ディフェンスの反応速度
すべて肩甲骨の柔軟性が関係しています。
腸腰筋ストレッチ(股関節前)|フットワークのキレに関わる
股関節は「下半身から上半身への力の伝達」を担う要。
腸腰筋が硬いと…
- ステップが遅い
- 前後の体重移動が重い
- 右ストレートの踏み込みが弱い
など多くの問題が起こります。
体幹の回旋ストレッチ(腹斜筋)|ボディの切れ味UP
パンチの“回転力”は体幹の柔軟性から生まれます。
体幹が硬い選手は
・右ストレートが詰まる
・左ボディのツッコミが浅い
・ディフェンスの反応が鈍い
などの欠点が出やすい。
最強のストレッチルーティン(朝/練習前/練習後/オフ日)
プロの現場で実際に行われている“勝つためのストレッチルーティン”をそのまま公開します。
① 朝ルーティン(5分)|寝起きの身体を整える
キャット&カウ
10〜15回
立位体側伸ばし
左右20秒
股関節回し(動的)
前後 各10回 × 両脚
肩回し
前後10回ずつ
朝は「固さを取る」「動く準備」が目的。
強度は強すぎないようにします。
練習前ルーティン(5〜10分)|動きの準備(動的中心)
練習前は決して長く伸ばさない。
筋力が一時的に低下する可能性があるためです。
ワールドグレイテストストレッチ簡易版
左右5回ずつ
肩甲骨パンチ(脱力ジャブ)
30〜40発
ダイナミック胸ストレッチ
20〜30回
ヒップオープナー
20〜30秒
立位ツイスト(体幹ひねり)
左右20〜30回
この後ロープやシャドーに入ると、驚くほど動きが軽くなります。
練習後ルーティン(10〜15分|静的メイン)|可動域を育てる時間
ここが選手の差が出る部分。
練習後のストレッチをやる選手とやらない選手では、半年後に“動きの質”がまったく変わります。
A. 上半身
大胸筋ストレッチ
左右30秒 × 2セット
広背筋ストレッチ
30秒 × 2セット
肩甲骨まわりストレッチ
30秒 × 1〜2セット
B. 体幹・腰・股関節
体幹ツイスト(寝ながら)
左右30秒 × 2セット
腸腰筋ストレッチ(ランジ)
左右30秒 × 2セット
殿筋(お尻)ストレッチ
左右30秒 × 2セット
C. 仕上げ
首ストレッチ
各20秒(優しく)
深呼吸(30〜60秒)
練習後・風呂上がりに実施すると疲労が抜けやすく、回復も早まります。
④ オフ日ルーティン(+10分)|可動域を伸ばす最重要日
オフ日は「可動域を育てる日」。
練習後ルーティンの時間を増やし、次の項目を追加します。
股関節ストレッチ延長
殿筋・腸腰筋を60秒キープ
ハムストリングス(もも裏)
左右30〜40秒 × 2セット
毎日続けたい人のための“超短縮版(7〜8分)”
時間がない日はこれさえやれば最低限OK。
【練習前】
- 肩甲骨パンチ 30〜40発
- 立位体幹ひねり 20〜30回
【練習後】
- 大胸筋ストレッチ 30秒×2
- 広背筋ストレッチ 30秒×2
- 腸腰筋ストレッチ 30秒×1〜2
肩・腰・パンチの伸びが圧倒的に変わるセットです。
まとめ:柔軟性は“最高の武器”になる
柔軟性は、筋力や技術に比べて地味に見えますが、
ボクシングにおいては 最も伸びしろが大きい要素のひとつ です。
続けるほど…
- パンチが伸びる
- スタミナが落ちない
- ディフェンスが速くなる
- 肩と腰のトラブルが減る
- 練習が“軽く”感じる
という変化が出てきます。
筋トレとは違いストレッチは毎日やっても問題ありません
毎日毎日の少しの積み重ねが数年後大きな差になって、競技結果に出てきます
柔軟性は裏切りません。
今日から毎日のルーティンに取り入れてみてください。
ではまた:-)

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